ヴィエリチカ岩塩鉱
地下327m、全長は300kmに及ぶ巨大岩塩鉱であり、廃坑になっていない岩塩鉱としては世界最古となっている。
また、運営しているのはポーランドの国営企業になっており、こちらも世界最古の製塩企業である。
この岩塩鉱の発見には面白い逸話があり、「キンガ王妃の指輪」として語り継がれている。
ハンガリーの姫であったキンガ姫がポーランドの国王ボレスワフ5世に嫁ぐ事が決まった事からこの物語が始まる。
一生を信仰と慈善事業に身を捧げるつもりでいたキンガ姫は気乗りしないまま、婚約が決まってしまった事を不服として、旧ハンガリー王国領(現ルーマニア領)にあるマラムレシュ岩塩鉱に婚約指輪を投げ捨ててしまう。
ポーランドに嫁いで10年程経った後、まだ岩塩鉱ではなく、諸外国から輸入した塩を保管する場所であったヴィエリチカで、なんと投げ捨てたはずの婚約指輪が発見されるという奇跡にも似た偶然が起きます。
あの時に捨てた指輪がマラムレシュで採掘された岩塩と一緒にポーランドに輸入されヴィエリチカに保管されていたのです。
これを奇跡と信じたポーランド王室はヴィエリチカの地下を掘り進めてみると、とてつもない規模の岩塩床が見つかりました。
これが、ヴィエリチカ岩塩鉱の発見と言われています。
1250年には塩の採掘を国営化して莫大な利益を上げてヨーロッパ最大にして最古の岩塩鉱となっていきました。
ちなみにキンガ姫は生涯に渡り、慈善事業に携わり、1695年にはポーランド・リトアニアの守護聖人としてその名を連ねています。
同時に、偶然とはいえ奇跡を起こした彼女はヴィエリチカの守り神として祈りの対象になっています。
指輪を発見した際の様子を描いたモニュメント。左がキンガ姫、右が当時のヴィエリチカ村代表役人。ちなみに岩塩鉱内にある岩塩で造られたモニュメントです。
第二次世界大戦において、ドイツに占領され瓦礫の山になったワルシャワとは違い、クラクフ近辺は被害も少なく、岩塩鉱自体も一部がドイツ軍の軍需物資の製造施設になっただけでほとんど被害はなかったようです。
もしかしたら、彼女の守りがあったのかもしれません。
この岩塩鉱には年間通じて100万人以上の観光客が訪れ、その長い歴史の中で詩人のゲーテや学者のコペルニクス、最近であれば、アメリカ元大統領のビル・クリントン氏も来訪されたそうです。
また、世界遺産の登録もされており、1978年にユネスコが初めて登録をした12か所のうちのひとつとなっています。
岩塩鉱の場所
クラクフから南東20km程の場所にあります。
クラクフからのアクセス・行き方
クラクフ市内に滞在しているのなら1日岩塩鉱で過ごしても余裕で日帰りが可能です。
まず、クラクフ本駅(Kraków Główny)から最寄駅のWieliczka-Rynek-Kopalnia駅を目指します。
1時間に1便の頻度で所要時間は20分程。
乗り換えもなく、降り間違えなければ1本です。
料金は片道3zt(2016年)
*1zt=27円。(2017年現在)
本駅の近くのバスターミナルからも行けますが、値段が4ztで所要時間が40分程かかるので、電車の方がオススメです。
クラクフ本駅の場所
Jana Mikołaja Daniłowicza行きのチケット
とても綺麗なクラクフ本駅。
車内も綺麗で快適な電車旅。
Wieliczka-Rynek-Kopalnia駅に着いたら正面を真っ直ぐに進見ます。
Jana Mikołaja Daniłowiczaという通りを見つけて、坂道を歩いて行くと右手に岩塩鉱の施設が見えてきます。
クリーム色とオレンジの屋根の建物です。
Wieliczka-Rynek-Kopalnia駅とヴィエリチカ岩塩鉱付近の地図。
営業時間
年中無休。
4月~10月 7:30~19:30
11月~3月 8:00~17:00
入場料金・チケット代
公式WEBサイト
最新情報の確認や予約も出来るみたいです。
言語もポーランド語、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語、スペイン語から選べるので、可能であればオンライン予約する方が確実かもしれません。
現地でも十分買えますが、混雑状況に左右されないのはメリットですね。
通常料金
大人 84zt
子供・学生 64zt
写真撮影する場合は追加で10zt
繁忙期料金
4月29日~5月3日、7月1日~8月31日の間。
大人 89zt
子供・学生 69zt
写真撮影する場合は追加で10zt
ガイドツアー
ヴィエリチカ岩塩鉱では観光客が迷わない為に、必ずガイドさんが同行します。
絶対に一人では入れません。
ガイドは英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語、スペイン語の6言語を選択する事が出来ますので、チケット購入時に伝えましょう。
言語によってツアーの頻度が異なるので注意しましょう。
英語が一番頻度が多いので、日本人の方はそんなに心配する必要はないと思われます。
英語のツアーの回数は以下の通り。
6月~9月 8:30~17:00の間で30分おきに1回
10月~5月 9:00~17:00の間で30分~1時間おきに1回
(2016年)
岩塩鉱を堪能しよう!
さっそくチケットを買いましょう。
僕は写真撮影がしたかったので追加料金を支払いました。
料金を支払うとこのようなシールを渡されるので、目につく場所に貼っておきましょう。
ヴィエリチカ岩塩鉱内の施設はWIFIや荷物預かり所、トイレがすべて無料で利用可能です。
右の木造の小屋が荷物預かり所で正面奥側にトイレがあります。
WIFIはつながりにくい場所もありますが、地下深くのショップエリアや休憩エリアでは快適でした。
時間が来たら岩塩鉱内に入場します。
歩いて地下深く向かうのは大変なのでエレベーターが用意されており、素敵な老紳士が操作してくれます。
地下に着いたらガイドさんが案内を始めてくれますのでついていきましょう。
薄暗く、空気が若干しょっぱいです。
岩塩で出来たモニュメントや展示物を眺めながら奥へと進むと…
有名な岩塩の礼拝堂に辿り着きます。
ちなみにシャンデリアや装飾品もすべて岩塩で造られており、地下の絶景スポットです。
全部岩塩とは思えない見事な造り。
最後の晩餐のレリーフも有名です。
僕はコレが見たくてここに来ました。
嬉しすぎてはしゃぐ日本人の様子。
さらに進むと塩湖もあります。
ここではライトダウンした後、ポーランドの有名ピアニスト、ショパンの「別れの曲」が流れる粋な演出が入ります。
個人的にショパンも別れの曲も好きなので良かったですね。
地下300mにコンビニ発見!
岩塩鉱内は完全に観光地化されているのでとても綺麗です。
このエリアはWIFI快適です。
お土産屋さんもたくさんあり、バスソルトや岩塩を使ったコスメ品、食用岩塩なら10~50ztくらいで買えます。
工芸品は結構お値段しますが、もともと物価が安いのでそれほど高くは感じなかったです。
人のお土産ばっかりだったので、自分用に岩塩のロザリオをお守り代わりに購入しました。
20ztくらいだったかと。
舐めるとしょっぱい!
観光の注意点
- 営業時間は先ほど説明した通りですが、混み方によってはツアーが埋まってしまって希望の時間に入れない場合もあるので、早めの行動と時間に余裕を持ったスケジュールを立てて行きましょう。
- 岩塩鉱は地下300mの場所にあるので、結構寒いので上着はあった方がいいと思います。
終わりに
ちょっと入場料が高いですが、施設もガイドさんもしっかりしていますし、地下の絶景も見られるので行けば納得の世界遺産です。
クラクフからなら1時間掛からず行けますので、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
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